展覧会場
netarts.org 2004

     

    ■ "Ping Melody"
    ■ http://wrocenter.pl/projects/ping/index.html
    ■ Pawel Janicki (Poland)

    ■ 選評−アン=マリー・シュライナー(要約)

     このプロジェクトの審査員になることは、90年代にSwitchに寄稿していたときのように、インターネット・アートを分析的/批評的に見る機会を与えてくれた。それは、カリフォルニアのサン・ホセ大学で発行されているインターネット・アートとデジタル・アートのためのオンライン・マガジンで、その頃わたしたちは、インターネット・アートにいくつかの論ずるに足るカテゴリーを見出していたのである。例えばわたしたちは、インターネットというメディアを第一義的に用いるインターネット・アートと、写真やなにかのデジタルコピーの展覧会場としてインターネットを使用するその他のアートとの間の差異を明らかにしようと努めていた。そして、このプロジェクトの審査の中でも、わたしたちはそれと同じ問題にぶつかった、とわたしは思う−−−いくつかのサイトは完成度が高く、印象的なアートワークであったのは確かなのだが、それらは、「インターネット・アート」という、かなり曖昧な定義にさえしっくりこないように思えた。

     インターネット・アートの創生期にはないもので、わたしが注目した新しい傾向の一つに、「フラッシュ・アート」の激増がある。また、優秀作に挙げられた「52songs」に見られるようなインターネット・アートとblogとの融合がある−−−それは切れ目なく続く創造的なプロセスとしての日記なのだ。もちろん「52songs」は、ライブ・パフォーマンスや実験的音楽パフォーマンス、ヴィデオ・ジョッキーイズムといった、インターネット・アートの初期以降に優勢となったその他の傾向も示しているけれども、それらはしかし、ウェブに特有のことではない。また、そんなに新しいものではないけれども、レヴ・マノヴィッチが「増大するリアリティ」と呼んだような、オンライン空間とオフライン空間との境界線を滲ませるワイヤレスのようなクノロジーを用いる傾向もある。別の優秀作である「One Block Radius」は、ワイヤレスを利用した、マンハッタンの一つのブロック(一街区)における、とてもローカルでフィジカルなプロジェクトだ。

     今年の受賞作である「Ping Melody」であるが、わたしはこの作品に一際共感を覚えた−−−1999年、わたしはJAVAのアプレットを作った。Brett Stalbaumと一緒に作ったそれは、サーバを楽器のようにして遊ぶことを可能とするものだった−−−サーバのポートにpingを送るのである。サーバのポートにpingすることは、ハッカー達がサーバへの侵入を許す「バックドア」を探すために用いたりもする。いずれにしても"Ping Melody"は、そんなハッカーのトリック、創造的なアート、そして音楽とを混ぜ合わせた印象的な例であり、インターネットとライブ・パフォーマンス空間とを融合させた好例だと、わたしは思う。