"m.s.t."

Frederic Madre

 

精神分析医が彼女のデスクの向こうに座っている。彼女の前には皿がある。彼女は患者に語りかけると、皿にもったゼリー状の羊のような塊を指差す。「これがあなたの脳です」と、彼女は静かにいう。彼女はデスクの上の緑色の瓶をつかむと、安物の赤ワインを解体された新鮮な臓器に注ぐ。患者は皿の上の自分の脳を見る。生で今にも壊れそうで、焼けている。「アルコールがあなたの脳をこうしたのです」と、精神分析医はいう。

"m.s.t."は、築かれた遺跡だ。

彼が「君と一緒に」と思うと腐敗が広がり、記憶の切れ端が消え、広大な思い出の領域が無意味になり、その他は分離し道に迷う。腐食はけっして眠らない。それは涙を食す。食べること、眠ること。君の聖堂、セックスが燃える。君の聖堂であるセックスのかすれたイメージが燃える。燃える肉体の喜び、食べること、「サン・トワ」で眠る。「サン・トワ」、君なしで。

"m.s.t."はハッピーな作品だ。生身の肉体を燃やす喜び。愛がもたらす破壊が田園詩を通じて生まれる。それは愛そのもの。別れの最良の部分は、再びあなた自身に戻れること。あなたなしでいることがわたし。それはスリル。(オルガ・シシュコ)